京都駅ビル空調設備システム実施調査作業に参加して
吉田研究室ゼミ生 鈴木隼人(4年)・宮下義明(4年)・大川洵(3年)
(2010/10)

 京都駅ビルは明治10年に開業した駅ですが、現在の駅ビルは、国際指名コンペ方式で行われた設計審査で、 原広司氏、安藤忠雄氏、ジェイムス・スターリングの3名の案に絞られ、最終的には原氏の案が選ばれました。

  駅ビルの延床面積は238000uにもなります。駅ビルの中には、ホテル・デパート多くの店舗が入っており連日賑わっています。 中央コンコースには大きな吹き抜けがあり、その最上部には空中回廊が通っています。 また、伊勢丹側に段数171段という大階段がありここでは、コンサートや催し物を行うなどイベント会場としても使われています。 また、この階段は火災時には避難経路にもなっています。

 屋上は緑化されていて気持ちを和ませてくれるような雰囲気に浸れます。

 


 この駅ビルのエネルギーロスを減らし、ビルの地球温暖化対策として求められている、 省エネルギー・省CO2を実施しようという改善計画プロジェクトが立ち上がっています。 こういう改善作業は企画設計のコミッショニングと呼ばれ、JR京都駅ビルの依頼により吉田教授が中心となって、 具体策の立案を開発・研究も加味した作業として進めています。

 私たちゼミ学生は、こうした実際のプロジェクトに触れ、多くの企業の方々と一緒に実システムの検証や実測作業の手伝いをしています。 こうした実プロジェクトに参画できることは、これから社会に出て行く私たちにとって良い経験になります。



 以下は、8月に行われた京都駅ビルの空調システムの実測調査への参加記です。

 まずは、現場見学させていただけることになり、吉田教授や企業の方々に空調システムの解説をして頂きました。 京都駅ビルは、熱源に蒸気ボイラー、蒸気吸収式冷凍機、氷蓄熱槽などがあり、さらに熱と電気を供給するコージェネレーションシステム も取り入れた巨大建物なので空調機器も大きく、また様々な機器が配置されていました。 こうした機器類は普段見ることができないものでしたし、その大きさに驚きました。

 教授はもちろんのこと、企業の方々に質疑すると、とても分かりやすく教えていただきとても勉強になったのと同時に 建築設備という学問分野により興味が湧き引き込まれていきました。

 大林組が中心になってお盆明けに行われた短期の計測に参加しました。今回は伊勢丹の空調機について計測しました。 伊勢丹には約30台空調機があり、それぞれについて、ダクトに流れる風速、送風機で消費される電力、 配管内の水の温度、を実測し実態のエネルギー消費を把握することが目的です。以下、簡単にどういう計測を行ったかを説明します。


■ 風速

 ダクトには冷風が流れています。このダクトでどの位の風速があるか計測し、それから風量を見出します。

 実は、ダクトにはいつでも後ろから調査・計測出来るように特別の穴が開いており、その穴に計測機を指して計測することが出来ます。
建物が出来た後で性能を確認するために、こういう工夫がされていることは知りませんでした。
 各送風機のon/offは中央で管理・制御していますが、消費電力は計測していません。 そこで、各階には電気の盤(分電盤)があり、そこで設計通りの運転がされているか確認できます。

 計測担当の方の指示をもらいながら何かおかしいところはないか、現場で計測と確認をしました。
 分電盤内の三相交流の電流値を計測しているところです。分電盤にも計測メータがありますが、 これはあまり精密な値を表示していません。そこで別途、直に配線に流れている電流をクランプメータという計測器で電流値を測りました。

■ 配管内の温度

 次に、配管内の温度計測について説明します。データロガーという装置を設置して配管を流れる水の温度を計ります。
 この装置を設置するためには、配管の周りの金属ネットと断熱材を切る必要があるので、カッターで10p四方を切ります
 写真で見える黄色いポリスチレンの奥に実際に冷・温水や冷・温風が流れている配管が入っています。 このポリスチレンは断熱材で、このおかげで周りの環境に左右されることなく安定した温度の水が供給できます。
 切断面から配管の表面にデータロガーの温度計測端子を特殊な糊で固定します。
 固定したら切り取ったポリスチレンを戻して銀色のテープを張り設置完了です。


 以上が今回行った計測です。調査中も店内はいつも通りに営業しており、不用意にスイッチ類を操作してしまうと 空調が止まってしまう恐れがあるので機械室に入る際は大変緊張しました。また機械室内には空調が設備されておらず、 特に屋上階の機械室は反射ガラスが設置してあり日射熱による温度上昇を強く感じ、蒸し暑く厳しい実測でした。

 ダクト風量の計測で気づいた点は、外気を直接機械に取り入れるダクトは供給量が多い為、人が上に乗ることが できる程の大きさで、その大きさに驚きました。機械室は狭く、計器や操作盤がかなりのスペースを取り、 さらにダクト配管は天井部に伸びるだけでなく蛇のように地を這いうねった配管になっていました。建築設備の設計は, 難しく苦労することが判りましたが、これがしっかり出来ていないと点検などのメンテナンス時にも支障をきたし 性能維持が適切にできないと思いました。

 今回の短期計測に参加して、多くの方々の知恵や力があってこそ一つ一つの建築設備があるということを知りました。 こういった経験を積み重ね、より多くの人々を幸せのために、また、環境に優しく省エネルギーな設備を創ることが 出来るような技術者になるよう努力したいと思いました。


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