研究紹介 >> 1. 建築・地域の省エネルギー >> 土壌蓄熱システムの継続Cx


■ 土壌蓄熱システムの継続コミッショニング


□ 自然エネルギーを利用した季間蓄熱を有する空調システムの運転最適化

 冬季の外気が持つ冷熱を地盤に蓄熱し,これを冷房期の熱源として使う季間蓄熱を有する実空調システムの最適運転手法に関する検討を行った.システムの概要を図-1に示す.このシステムでは,蓄採熱時にポンプの稼動にエネルギーが必要なため,システムを不適切に運転すると一般の冷凍機を用いる空調システムよりも余分なエネルギーを消費する可能性がある.しかし,運転の最小サイクルは1年であり,また地盤の伝熱は長期に及ぶため,実システムで様々な運転方法を試すことは困難である.したがって,シミュレーションモデルとして地盤蓄熱システムを構築し,シミュレーションを用いて最適な運転方法を見出した.
 シミュレーションは,有限要素法による杭と地盤の非定常伝熱計算モデルと,空調機器の数理モデルから成り,これらを繋ぎ合わせてシステム全体をモデル化した.2005年2月の運転開始から現在まで継続的にモニタリングを行い,2005年12月,2006年5月,2006年12月にシミュレーションを利用して運転の最適化を行った.ただし,1年分のシミュレーションの実行に約30時間を要し厳密な最適解を求めることが困難であるため,ケーススタディによる簡易最適化を行った.最適化後の現在の運転方法では,初年度の運転法と比べて,蓄採熱量は約50%増加し(蓄熱量213.4GJ→322.0GJ,採熱量145.1GJ→218.2GJ),システムCOP(採熱量を蓄採熱に要した電力で割った値でありシステムの効率を表す)は3.06から7.15に向上した.



図-1 システムの概要



図-2 土壌温度シミュレーションの結果